生物学的リスクによる生体適合性試験

概要

人体に接触、埋め込む医療機器については、使用における人体へのリスクを事前に評価しておく必要があります。
使用されている機器の材料と人体への接触時間等により、考慮すべき試験項目が異なります。試験方法や項目は法律や規格で一律に定められている訳ではありません。生物学的リスクを考慮して、その具体的な方法を選定する必要があります。試験費用と実施期間を最優先に試験機関に委託し、結果が規制当局のもとめる内容と異なるために試験レポートが活用できない事例があります。
このような結果にならないために注意すべき事項について、その背景を含め、試験内容の理解が必要となります。

【生体適合性試験とは】

2016年6月16日にFDAガイダンス “Biological evaluation of medical devices – Part1:Evaluation and testing within a risk management process”が発行されました。これには、医療機器の申請時に必要となる、生体適合性試験の試験選択時のポイントや各試験の内容について記されています。
医療機器の使用方法(環境)や使用目的および生物学的なリスクアセスメントにより、どのような評価試験を行うべきか異なります。

【生物学的なリスク】

生物学的なハザードや危害とはいったいどのようなものでしょうか?
それは医療機器と接触した皮膚に腫れや紅斑が発生しないかどうかといったものから、突然変異の誘発性といったものまで様々です。
医療機器の使用方法や使用目的を踏まえ、どのような評価試験を検討すべきでしょうか?前述のFDAガイダンスでは医療機器をカテゴリー分類し、どのような評価試験が必要となるかの情報を提供し、医療機器メーカーが生物学的なリスクアセスメントを行う際の情報が記されています。
以下にその情報を詳しく見ていきましょう。

【医療機器のカテゴリー分類項】

医療機器の分類を①人体表面と接触する、②体内と体外とを連結する機器、③体内に埋め込みを行う機器(器具)の3つに分類し、さらに細かく人体の接触部分についても分類をしています。また、医療機器の累積接触時間をA)24時間未満、B)30日未満、C)30日以上と規定しています。

【生体適合性試験の種類】

例えば、正常な皮膚表面と接触し、その時間が24時間未満である医療機器は、「細胞毒性試験」、「刺激性試験」、「感作性試験」の3つの試験項目を検討する事になります。

【細胞毒性試験とその例】

「細胞毒性試験」は、医療機器の抽出物が動物細胞に与える影響を解析し、毒性作用を決定する試験です。抽出物による評価だけではなく、直接接触法や間接的接触法などのテストが存在します。
ISO10993-5では、医療機器から抽出された成分が細胞に与える影響について、定性的かつ定量的な結果が得られる方法が掲載されています。一例ではありますがその概要としては、「適切な培地を用いて、ISO10993-12に従い医療機器から抽出」を行います。マウスの繊維芽細胞を容器の中で予め培養しておき、さらに抽出物を加え、一定期間培養します。最後に形態学的な観察、コロニー数や死細胞等を計測します。細胞毒性試験は要求される試験手順に違いがありますので、医療機器の仕向地によっては注意が必要です。

【刺激性試験とその例】

刺激性試験は医療機器が、皮膚組織への障害や炎症を引き起こす可能性を確認する為の試験です。
刺激性試験には、皮膚表面の刺激に対する試験と、皮内の反応に対する試験があります。皮膚表面に対する刺激性試験は、医療機器の抽出物をウサギの皮膚に塗布し、一定期間後の紅斑や浮腫の有無または程度を観察します。対して皮内反応試験はウサギの皮内へ投与を行います。どちらも観察による紅斑や浮腫の有無を観察していますが、どちらの試験を採用するかは、医療機器の使用目的や特性で判断をします。

【感作性試験とその例】

感作性試験は医療機器が遅延型アレルギー反応の一つである感作性を引き起こす可能性を確認する為の試験です。
感作性試験にはモルモットを用いる試験GPMT(Guinea pig maximization test)とA&P(Adjuvant and Patch Test)があり、マウスリンパ節を用いるLLNA(Local Lymph Node Assay)があります。
GPMTはモルモットの肩甲骨上部に一次感作として医療機器の抽出物を皮内注射し、1週間後にラウリル硫酸ナトリウムを二次感作させます。さらに2週間後に惹起を行い24/48時間後に皮膚反応を判定します。LLNAはマウスに試験試料を投与後、放射性物質を投与し、マウスの耳介リンパ節の細胞増殖をシンチレーションカウンタで確認します。感作性試験には規制当局により違いがあるので、試験の選択には注意が必要です。

【結論】

生体適合性試験には、医療機器を輸出する仕向地によって、要求される試験にバリエーションが存在しています。また、どの試験を適用するかだけではなく、医療機器の特性による試験プロシージャーの選択という観点でも仕向地による規制当局の要求を正確に把握しておく必要があります。弊社では、海外向け試験の豊富な経験を有するスタディーディレクターが、医療機器特性に応じた最適な試験プロシージャーをご提案いたします。




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